ジャオの北京日記 北京のお土産(2) 〜自分用に買うこと〜

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 北京のお土産で日本で喜ばれるものは「無い」と言っていいと思います。ですから北京でお土産を買うなら自分や家族のために買う、ということに徹するべきだと言うのが私の結論です。

 

 前にも書きましたが、お土産選びのポイントは、

 ◇ 日本と価格差があり、北京の方が遥かに安く手に入るもの

 ◇ 当たり前の品物で、日本の商店では見かけないもの

です。

 

 まずスモーカーの私は煙草です。私はふだんはフィリップ・モリスの5ミリを吸っていますが、中南海の5ミリというのは日本煙草(JT)の技術が入っているとのことで、フィリップ・モリスにも感じが近いのでお買い得です。市内で普通に買っても1カートンで85−90元(1020-1080円)ですし、空港の免税店ではなんと52元(620円)でした。以前は空港で65元だったから値下げしたようです。もっとも空港は気まぐれで中南海はあっても、5ミリのものが品切れの事がありますので、市内で買うことを勧めます。日本では中南海の1ミリ、3ミリ、8ミリ、10ミリを売っていますが5ミリはありません。そしていずれも1個で410円(カートンで4100円)と恐ろしい値段です。

 

 次は食べ物です。

必ず買うのは豆腐糸。これは半ば乾燥した豆腐の細切りです。スーパーだと150グラムのと250グラムの真空パックをよく見かけます。150グラムので3元ぐらいですから安いものですが、保冷剤を持って行って入れてくる必要があります。

右は豆腐糸レシピ―のページにあったものですが、こんな風にいろいろ使えます。

 




 それから香料・ハーブ類。白胡椒、黒胡椒、辣椒(唐辛子)、月桂樹の葉などが極めて安く手に入ります。煮込み料理やシチューを作る人にはホントにお買い得です。月桂樹の葉は、日本で売っているもののように形や大きさが揃っていませんが、それでもこれだけまとめて買って3元4毛(40円)ですから得です。白胡椒が56グラムで90円、黒胡椒は少し高くて60グラムで170円、大体日本の3分の1程度の値段です。

 

 あと、香料などを入れてきた容器は韓国製のロック・ロックという製品の類似品で、日本にないタイプですが使いやすいので香料などの入れ物代わりに買ってきます。韓国製のはしっかりできていますが、この中国製の類似品はとにかく安いし一応漏れないので、このごろは類似品を買っています。大きな方は1.2リットル入りですが、これでも日本円で200円ぐらいです。

 

 そして音楽のCD。ブレンデルや小澤征爾さんのがあったので曲目はちょっと渋いけど買ってきました。1枚18元(210円)です。

 

 あと、書道をする人は琉璃廠の本屋へ行くと、昔の名筆家の墨跡や碑文の拓本の写真版が数多く出ています。この頃は印刷もかなり良くなっていますが、1冊20元程度で、誰々筆の蘭亭の序なんてのがたくさんありますから、日本で買うよりはるかにお買い得だと思います。私は悪筆な上に墨痕淋漓なんてのには全く縁も興味もないので絶対に買いませんが。

 

 旅行で北京に行く方にアドバイスするとすれば、北京は大して美味しい店もないけど、向こうで十分に食べたり飲んだり遊んだりすることに時間とお金を使って、お土産は自分用以外は買わない事だと思います。


ジャオの北京日記 「の」の字のはなし

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 日本語の「の」というのはとても便利な言葉だ。中国語では「的」にあたり、ほぼ同じ使い方をする。語順も同じだ。「私の心」は「我的心」(月亮代表我的心という歌があるが)、「彼の先生」なら「他的老師」のように使う。また「これは私の、あれは彼の」という使い方も「這是我的、那是他的」となり、非常に近い使い方をする。

 

 中国では最近、なぜだかわからないのだが、日本語の「の」の字が流行っている。

 

 左の写真は三元東橋のネイル・アートの店の看板だ。「の」の部分を「的」にしても意味は通じるが、ちょっとダサいかんじがする。日本語にしてしまうことで、日本の技術を使ったネイルですという感じも出るわけだ。

 

 次のは南鑼鼓巷で見つけた看板で、貝児多爸の泡芙工房と書いてあり、「貝児多爸」はbeard papa、「泡芙」はpuffの音を漢字に直したもので、シュークリーム屋みたいなものだ。たぶん元は「Beard Papa’s Puff Factory」という店なのだろうが、ここも中国語の「的」を使わず日本語の「の」を使っている。「の」の方が「的」より見た感じがすっきりするためもあるだろうし、日本と言う外国の香りがするという意図もあるのだろう。

 

 「の」の字の進出は大陸に留まらない。三つ目は台湾で見かけたもので、お茶屋さんの看板だ。これも「茶的魔手」と書いてもよいのだが、「の」を入れることで日本の香りがする。

 




 「の」の字が人気なのはなぜだろう? 一つは「的」を「の」に置き換えても意味が全く変わらないからだろう。また日本の文字であることは多くの中国人が知っているから、日本から或いは外国から入ってきた技術とか味とかを言外に匂わせることができるからかもしれない。また「の」という文字が丸くて可愛いからということも大いに影響しているだろう。中国では「の」の字が「乃」の草書から来ていることはほとんど知られていない。

 

 さらに「的」と書くよりは「の」の方が前後にある名詞が際立つためもあるのだろう。「茶的魔手」よりは「茶の魔手」の方が、平板さがなくなり、「茶」や「魔手」という単語がハッキリするように思う。考えてみればこれは漢字かな交じり文と言う日本語独特の文体の良さを生かしているということだ。

 

 韓国語もちょっと前の本は漢字ハングル交じりで書かれているが、今ではchauvinismが嵩じて世宗大王を奉りすぎたためにハングルばかりになってしまい、中国と逆の意味で大変に平板になってしまった。そういえば韓国からの留学生が、ソウル大学の図書館にある本の半分以上は漢文か漢字ハングル交じり文なので自分たちは読めないと言っていたのを思い出した。自国の大して古くない図書が読めないことは、知識人のレベルを大いに引き下げてしまうと思う。ビジネスでは頑張っていても、最近の韓国には知識人がとても少ないように見えるのはそのためではないだろうか。

 

 英語の of やフランス語の de は、「の」や「的」と違って、名詞の順番が、teacher of the schoolとかmaison du professeurみたいに前後逆になってしまうが、それでも of de は使い勝手がよい。この意味ではロシア語は of de に当たる言葉が存在しない珍しい言語で、外国人にはホントに困りものだ。例えば、プーチンの家と言いたければ Dom Putina と、Putin という固有名詞自体が格変化して形を変えてしまう。さすがに歴史の浅い野蛮な言語…と中国人の目には映る。

 

 北京オリンピックのころ、北京ではコスプレがはやり、コスプレ小姐が「超可愛(chao ke ai)」なんて叫んでいた。もちろんこれは当時日本でも流行っていた「チョーかわいい」の中国語訳である。こういう他愛ないレベルで共通点を見つけ共用したりすることによって、中日両国民が個人レベルの感覚的なところで近づけばいいなと私は思う。「の」の字の流行もその一助になってほしいと思っている。


ジャオの北京日記 食在広州

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中国に「食在広州、穿在杭州、玩在蘇州、死在柳州」という諺がある。諺と言うよりはよく使われる表現と言った方がいいのかもしれない。穿在杭州、玩在蘇州の部分は衣在杭州、生在蘇州とも言われ、この方が古い言い方だ。食べるなら広州、着るなら杭州、住むなら蘇州、死ぬなら柳州というわけだ。このうち柳州は材木が良くお棺の上等なのができるから死ぬのは柳州という。

 

この諺にあるように、中国で食べ物の美味しいのは広州という事になっている。日本では神戸や横浜の中華料理は大変おいしいが、ほとんどは広東人がやっている広東料理の店だ。神戸の別館牡丹園などは北京のどの店より美味しいと私は思う。北京など北方は実は食べ物の美味しくない地域なのだ。

 

しかし北京にも名店と言われる店がある。周恩来総理の料理人が作った無名居、北京烤(北京ダック)の便宜坊とか全聚、大董、新しいのでは1949など大きな構えの高級店が知られている。でも東京にいるときだって、神田川の鰻とか八つ花の天麩羅とか、高級店の料理は滅多に食べないのだから、私の言う「名店」とは安くておいしい店、特にランチのいい店の事だ。

 

私がよく昼ごはんに使うのは、永安里の双子座ビルの5階にある韓国料理の愛江山だ。ここは韓国のLG電機が持っている建物で2007年頃にできた。愛江山も当初からあり、向かい側にはプールのように大きな生簀のある日本料理屋があった。日本料理の方はすぐに潰れてしまったが愛江山はいまでもやっている。ここのランチは値段と品質のバランスから言ってお勧めだ。

 

写真は去年の夏に食べた時のもので、何を頼んだのか忘れてしまったが、石焼ビビンパでもクッパでもこういう形で出てくる。キムチなどの小菜はなくなればすぐ持ってきてくれる。

 この写真にはないが、ここの水キムチは実に上品な味ですばらしい。水キムチは文字通りお汁にはいった浅い味のキムチだがその汁の味が淡白で上品で私は大好きだ。これだけの水キムチは、ソウルのプラザホテルの2階か3階にある料理店以外では食べた事がない。店が新しくてきれいだし、サービスも悪くない。これでお値段は、メインの料理によって4050元(480-600円)だから、東京のつまらない店のランチと比べてコスト・パーフォーマンスは比較にならない。急いでいるときも一人の時も、ここならだいじょうぶなので、国貿や建国門あたりに用事のある時には愛用している。

 


ジャオの北京日記 餃子の話

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北京は大都市だから、もちろん食のバラエティーもいろいろあるし、しゃおりんさんが既にたくさん紹介しているのでちょっと気が引けるが、きょうは私のお気に入りメニューである餃子について少し書いてみよう。

 

餃子は市内のどこでも食べられる。餃子店と書いてある所でもいいし、ローカルなフード・コートには必ず餃子屋がある。北京で「餃子」というと普通は水餃子のことだ。中身の餡がいろいろあって、豚肉だけではなく牛肉や羊肉、鶏肉、魚、エビなどの肉と、白菜や韮、芹、椎茸などの野菜を選んで組み合わせるので、バラエティーに富んでいる。野菜だけの餡のもある。日本でいう餃子(焼き餃子)は餃子と言わずに鍋貼と別の名前で呼ぶ。(写真は先日の昼ごはんの餃子で15個で18元=200円ぐらい。)

 

中国では、漢代の名医として知られ漢方医学の教科書「傷寒論」を書いた張仲景が餃子の発明者と言われている。今から二千年近く前の人だ。張仲景は後漢末期の混乱の中で疫病が蔓延した時に、漢方薬を餃子の皮に包んで苦くないように工夫して患者に与えたのだと言う。つまり今でいうカプセルとかオブラートとかに当たるものとして餃子はできたのだと言う。

 

餃子の呼び名は時代によって変わり、古代には「牢丸」「扁食」「餃餌」「粉角」、三国時代には「月牙馄饨」、南北朝時代には「馄饨」,唐代は「偃月形馄饨」,宋代は「角子」,元代は「扁食」で、漸く清朝になって「餃子」と呼ばれるようになったと言う。今でも扁食という言葉は使われているが、地方では皮の薄いのを餃子、皮の厚い中身の多いのを扁食と呼び分けているところもあるらしい。北京では両方とも同じことで、大体は皮が厚く中身が多いのが一般的だ。

 

餃子と爆竹は旧正月(春節)に欠かせないものだ。南方では違うかもしれないが、北京では旧暦の大みそかである除夕の夜に餃子を食べる。いろいろな餡のをたくさん作って、その中のいくつかに硬貨を入れておく。今だと綺麗な5毛硬貨を入れることが多い。それが当たった人は翌年1年間、お金が儲かるといって大変縁起がいいのだ。私はここ数年、結構数を食べているのに、ちっとも硬貨入りのに当たらない。日本で安月給のOLなんかしていては発財できないのは当たり前かもしれないが。

 

旧正月に餃子を食べる理由はいろいろ言われるけれど、餃子は交子とも書かれる(発音は同じで、餃は三声、交は一声)ので、新旧の交わる日である大みそかに食べるとも、神と鬼が戦いを交える大みそかに食べるとも言われる。いずれにせよ「交わる」ことと関係があるみたいだ。交子=子を授かるという意味だからとも言われるが、子供よりは発財(金儲け)の方が中国人らしい発想だと思う。

 

餃子は元代に蒙古族が欧州まで攻め込んだ時に世界に広がったという。俄羅斯餃子(ロシア餃子)と呼ばれるペリメニ、意大利餃子(イタリア餃子)と呼ばれるラビオリなどは蒙古軍が広めたのだそうだ。ペテルブルグのネフスキー大通りに美味しいペリメニ専門店(ペリメンナヤ)があって、そこで三皿も食べて友達の顰蹙を買ったことがあったが、ロシアのは少し酸っぱい味のスープに入っていた。また、ラビオリはイタリア北部の料理のようだ。ホントはマルコ・ポーロがベネチアへ持ち帰ったのかもしれない。
(上は俄羅斯餃子、ロシアのペリメニ)

 

そういえば私がまだ北京で働いていた時に、日本に輸出された冷凍餃子から農薬が検出され、毒入りギョーザ事件と騒がれたことがあった。上に書いたが、中国語ならあれは「毒入り餃子」じゃなくて、「毒入り鍋貼事件」と呼ぶべきものだったのだろうと思う。

 

それから、餃子は主食なので、中国人は餃子とご飯とか、餃子と麺とかの両方を食べることはない。日本のラーメン屋のギョーザ・ライスは極めて日本的な食べ方なのである。


ジャオの北京日記 日本化する中国?

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 北京市の北東の郊外、韓国人の多い望京や芸術家村の大山子に近いところに、環行鉄道というのがある。地図で見ると、鉄道線路が直径3キロほどのきれいな丸を描いて敷設されている。前々から何のためにあるのか気になっていた謎の鉄道だったのだが、中国にもいる鉄道オタクの友人が環行鉄道とその横にある鉄道博物館へ連れて行ってくれた。

 

 北京では前門にある正陽門駅が清朝時代からの始発駅で、日本で言えば昔の新橋駅に当たる。この前まで安っぽいショッピングセンターだったものを建物をきれいに直して鉄道博物館として最近開館した。今回訪ねた鉄道博物館はこれとは別で、亮馬橋から環行鉄道行きのバスに乗り、さらに20分ぐらい歩かされてうんざりするような不便な場所にある郊外の博物館の方だ。

 

 博物館には鉄道線路が引き込まれ、機関区のような形になっており、蒸気機関車、ディーゼル機関車を展示している。入り口を入ってすぐ目を引くのは、蒸気機関車の毛澤東号と朱徳号だ。いずれも綺麗に修理され装飾を施されている。

(左が朱徳号、右が毛澤東号)

 ところが、説明板を見て驚いたのだが、この2台はいずれも日本製で、1940年代初めに南満州鉄道で使われていたものと知った。ここで展示されている蒸気機関車は日本製が多く、そのほか戦後、国民政府に対して米国が援助として供与した北米大陸横断鉄道の機関車が数台、さらに雲南省とベトナムを結んで走っていた狭軌の機関車はフランス製やベルギー製、ディーゼルは東ドイツ、ルーマニアなどのプレートの付いたものが多い。(日本に鉄道オタクが多いのは周知だが、彼らはD-51とかC-61とか日本で走っていた機関車については無暗にオタッキーだが、日本で製造され海外で活躍していた機関車には全く冷淡に見える。オタクにも国外に目の向かない日本人の特徴がよく出ているという事なのだろう。)

 

 日本製の機関車に新中国成立と建設の偉人の名前をつけたところは、中国のおおらかさを示しているように思う。まあどこで出来てようがいいんじゃない?…というわけだ。

 

 私が少し心配なのは、中国が経済大国になるにつれ、このようなおおらかさが薄くなってきていることだ。このまえ朱鷺の話を書いたが、5年ほど前に政府が丹頂鶴を中国の国鳥に指定したことがあった。ところが丹頂鶴は学名がGrus japonensisと言い、日本という言葉が入っているためにネットで大論争になった。丹頂鶴も朱鷺と同じく中国、ロシアから朝鮮や日本まで広い範囲に生息する鳥だが、欧州の学者に知られたのが日本産のものだったので学名にjaponensisと入ってしまったのだろう。

 

 私は、国鳥とか国花とかに全く興味がないし、そんな馬鹿らしい事はお上に決めていただく必要はないと思うのだが、その議論の過程が妙にchauvinisticでイヤーな気がしたことを思い出す。朱鷺に関する日本人の狭量さを先日の記事で揶揄したが、歴史学者の與那覇潤大先生の本とは逆に、中国人の日本化が進みだしてるんじゃないかと思ったりする。それから考えると、これらの日本製機関車に毛澤東や朱徳の名前をつけた頃の方が、中国人が中国人らしかったと思う。

 

 この博物館から出ると、謎の環行鉄道が通っているが、ここは新しい車輛の試運転基地に使われているとのことで、たまたま新型電気機関車や、たぶん新幹線の編成に組み込まれるのであろう二階建て車両がのんびり走っているのを見かけた。ここの踏切は列車が通過するたびに人が出て、文字通り「手動」で交通を止めるのだが、こういうノンビリ感が薄れることは、中国人の良さが失われることになりゃしないかしら…と勝手に思うのである。


ジャオの北京日記 文盲のこと

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この前、地下鉄2号線と5号線の乗換駅である崇文門で、大きな荷物を抱えたいかにも田舎者という感じの女性に呼び止められた。訛りの強い言葉で5号線の乗り場はどこかと尋ねている。ふと見ると目の前の柱に「2号線↑ 5号線→」と大きく書かれている。私は甚だ突慳貪な態度でその表示を指差し、「あそこに書いてあるでしょ」と言うと、その女の視線が急に宙を泳いだ。

 

日本では全く忘れている事だが、中国にはまだ文字の読めない人が結構いるのだ。気づいた私は態度を改め、あなた数字は読めるの?と聞くと頷くので、あそこに5って書いてあるでしょ、あの矢印の方向に進めば5号線のホームへ行けるわよ…と言うと漸く視線が落ち着きそちらへ向かっていった。

 

(写真は1号線と4号線の乗換駅の「西単」駅。柱に1号線・4号線の表示がある。東京と同じく路線によって色が違う。)

 

 去年4月に国家統計局が発表した文盲率は4.08%だから、人口にすると5千万人ぐらいは文字が読めないことになる。この統計は、以下の記事にあるように15歳以上の文盲の総人口に対する割合で、2000年と比べると6.72%から2.64ポイント下がっていると言う。また別の記事に拠れば、文盲のほとんどは田舎の人で女性が多いという。私に道を尋ねたのはそういう人の一人だったわけだ。

 

国家統計局:我国文盲率為4.08% 十年降2.64個百分点

中国経済網北京20110428日訊

国家統計局今日発布第六次人口普主要数拠,数拠顕示…文盲率(15歲及以上不識字的人口占総人口的比重)4.08%,比2000年人口普6.72%下降2.64個百分点。各種受教育程度人口和文盲率的変化,反映了十年来我国普及九年制義務教育、大力発展高等教育以及掃除青壮年文盲等措施取得了積極成効。

 

彼女の視線が宙を泳いだ時に思ったのは、「文盲」とは理詰めでつけた名称ではなく、感覚的な名称ではないかと言う事だ。盲人と話をしていると視線(というか顔の向きだったりするわけだが)が思わぬ方向に向いていることがある。目が見えない以上これは当然なのだが、文盲の人に行先表示を指差した時の視線の泳ぎ方は、盲人の場合とそっくりだった。

 

日本では「盲人」というごく一般的な名詞すら目の不自由な人と言わなければならないのだろうが、文盲はなんて言うのだろうか。文盲なんて日本にはいないから…と賢しらに答うちして言ひまぎらはす人いと憎し…は放っておいて、「文字認識能力が不足している人」とか「読み書きの不自由な人」とか言うのだろうか。

 読み書きが不自由なのは文盲に限ったわけではなく、ホーキング博士みたいな人だって不自由だから「文盲」を表すのに正確ではない。「目に一丁字ない」という表現や「あきメクラ」という蔑称が死語になったとすると、中国の文盲者のことを日本人がなんて呼ぶのか、
言葉狩りの好きな「脳みその不自由な人たち」のゴタクを聞いてみたいものだ。

 

私の大好きな漫画である長谷川町子さんの「いじわるばあさん」にこんなシーンがある。医者へ行ってみると「本日休診」の札が下がっているのにムッとした意地悪ばあさん、あとから来た職人体の小父さんから「なんて書いてあるんです?」と聞かれて「本日割引きですよ」って答えるのだ。割引に喜んだ職人がドアを散々たたくので医者が閉口するというオチなのだが、この職人が文盲でなければこの話は成立しない。日本でも1970年代ぐらいまでは文盲がかなりいたのだろう。中国と違ってわが国には文盲などいないとタカビーに言う者は、自分の親や親戚が文盲だったかどうか先に調べてから言った方がよさそうな気がする。

 


ジャオの北京日記 朱鷺とナショナリズム

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日本では朱鷺の雛が生まれてちょっとしたトキ・ブームのようだ。

トキにベビーラッシュ、佐渡で6羽目ひな

環境省は11日、新潟県佐渡市で放鳥された国の特別天然記念物トキのうち、これまでひな2羽の誕生が確認されていたつがいに、新たに1羽が生まれたと発表した。国内の野生で36年ぶりに確認された別のつがいの3羽と合わせ、ひなは計6羽になった。2012/5/11 22:26日本経済新聞

 

トキ放鳥:ドジョウ養殖、飼育支え 熱意ある若者育って 新潟

11日に新たに1羽のひなが確認され、6羽が誕生している佐渡市の放鳥トキ。野生復帰ステーションで放鳥に向け訓練中のトキを含め、佐渡トキ保護センターには10日現在、162羽がいる。年々数が増えると共に、今は繁殖期で特に餌が必要な時期だ。同センターでは餌のドジョウは佐渡産だけでは間に合わず、島外や中国からも大量購入。佐渡産のドジョウを供給し、トキの飼育を下支えするのが、同市小木大浦で06年から同センターに収めるドジョウを養殖している「佐渡ドジョウ養殖研究会」の西野雅夫会長(69)だ。西野会長は「もっと養殖者が増えてほしい」と話す。毎日新聞 20120512

 

 エサのドジョウ養殖の後継者探し…なんて何だか大変な熱の入れようだが、朱鷺を見たければ、北京動物園へ行けばいくらでも見られる。パンダ舎に近いところの檻に何羽も飼われており、写真はその檻の表示板だ。中国語では朱カンとか朱鷺とも言う。カンの字は環のつくりを左に書いて右に鳥という字だが、これは中国語でも滅多に使わない漢字で、ケータイの変換では出てこない。

 

 表示板にあるように、中国でも数が減ってきて一級保護動物になっているが、日本のようにむやみな特別扱いはされていないし、他の動物と同じように飼育され展示されている。

 

 そもそも朱鷺は日本固有の鳥ではない。かつては中国・極東ロシアから朝鮮や日本にかけて広く分布しており、ありふれた鳥だったそうだ。Nipponia Nipponという学名から、日本を代表する鳥、日本の象徴みたいに間違われるが、これはシーボルトが欧州に送った最初の剥製が日本の朱鷺だったからというだけの理由で、欧州の学者たちが誤解して命名したに過ぎない。

 佐渡ヶ島や新潟県などは、他に観光資源のないから、必死でこの誤解を流布して観光客を増やそうとしているだけだし、国内にしか目の向かない記者ばかりの日本メディアも、その尻馬に乗っているだけだ。

 

 2003年に最後の日本産の朱鷺が死んでいまは中国産ばかりだという報道もあったが、朱鷺はコウノトリの仲間だから飛ぶ距離は長く、そもそも今の各国の国境を当てはめて「日本産」と麗々しく言うのがおかしい。シベリアと日本を行き来している白鳥については「ロシア産」なのか「日本産」なのかという議論はしないのに、朱鷺について日本人が熱を込めるのは、ニッポニア・ニッポンというインチキな学名がナショナリズムを掻き立てるからじゃないだろうか。

 

 朱鷺の保護は行うべきだろうが、誤解と無知と郷土意識が生み出したフィクションに乗って右往左往している日本人の態度は滑稽以外の何物でもない。


ジャオの北京日記─‘食民族

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中国人は古来から肉食が好きだ。論語にも「子在齊聞韶、三月不知肉味」とあるぐらいで、孔子は美味しい肉の味を3か月も忘れるほど音楽好きだったという例えにも引かれているほどだ。また「大牢」という言葉は大きな牢屋じゃなくて、牛、豚、羊の三種類の肉料理の出る豪華なごちそうの意味で、古来から天子が社稷を祭る時に出す料理のことだ。

 

北京でも最近は家楽福(カルフール)などの大スーパーが数多くあり、肉屋の数は減ってきているが、まだ市内には写真のような昔ながらの肉屋も残っている。こうやって形のまま吊るしてあれば、どの部分を買ってどういう料理にしようかと考えられるし、脂ののり方も選べるので私はこういう肉屋の方が好きだ。

 

一方、日本では肉食は決して主流にならなかった。四方を海に囲まれていて海の幸に恵まれているから…と言う人もいるが、同じ状況の琉球が肉食なのを考えると、やはり日本人が元来肉食をあまり好きじゃないというのが本音だと思う。

 

肉食の習慣がない人たちが肉を食べるとどうなるか、次の記事がよく示している。

 

妊娠中の寄生虫感染赤ちゃんに障害も

母親が妊娠中に感染したトキソプラズマと呼ばれる寄生虫によって、脳や目に障害が出た赤ちゃんが3年間に16人いたことが日本小児感染症学会の調査で分かり、加熱が不十分な肉などが感染の原因となることから、妊娠中の人に注意を呼びかけています。

トキソプラズマは、加熱が不十分な肉を食べたり猫の糞が混じった土をいじったりすることで感染する寄生虫の一つです。健康な人が感染しても問題ありませんが、妊娠中に初めて感染すると、胎児にトキソプラズマがうつり、脳や目に障害が出る先天性トキソプラズマ症で生まれるおそれがあります。

日本小児感染症学会が全国およそ2700の病院を対象に調べたところ、平成20年までの3年間に16人の赤ちゃんに脳や目に障害が見られ、先天性トキソプラズマ症と診断されていたことが分かりました。…

 

中国でも農民は土をいじるので感染の可能性はあるが、先日のユッケ騒ぎではないが、生肉を食べるアホはいないので、日本みたいなことにはならない。加熱すれば寄生虫は確実に死ぬからだ。中国と日本では肉の食べ方に3千年の年季の差がある。

 

牛や羊がぶら下がる北京の肉屋を不衛生だという日本人がいるが、生肉や生魚を平気で食べる日本人の方が、私から見れば不衛生極まりない。また、私は原発事故の影響を過小評価はしないが、放射能を恐れて西日本に避難したのに刺身やユッケを食べ、食卓のそばに猫がいても平気な人たちの、無知による針小棒大ぶりは大いにバカにしている。

 

肉でも放射能でも、冷静かつ合理的に対応すべきなのは全く同じなのだから。


ジャオの北京日記А(僂錣詼無(その2)

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 もう一つ、北京で嫌でも気づかされるのは物価が上がったことだ。


 東単の東方新天地の地下にあるフード・コートは私のお気に入りで、広東系の小吃を蒸籠単位で買うのが常だったが、今回はプリペイドカードに100元も入れておいたのに、店の人が「お金切れですよ」というので耳を疑った。保証金10元を除いても90元もカードにはチャージしてあるのに1食でそれがなくなるなんて以前の北京では絶対にありえないことだった。結構poshな場所だから値上がりも激しいのだろうが、それでもこのフード・コートは満員の盛況である。

 

 2007年頃、イトーヨーカ堂の店員募集の張り紙には、売り場と経験により1か月900元から1300元の給与(1万1千円〜1万6千円)と書いてあったのを覚えている。これが今では2000元(2万4千円)以上になっているという。給与上昇が物価を押し上げているのか、物価にスライドして給与が上がっているのか定かではないが、高度成長期というのはこういうものなのだろう。

 

 感覚としては、4−5年前は50元札ですら財布からたまに出ていくだけだったのに、今では100元札がどんどん出ていく感じがする。賃金や物価の上昇を考えると、公共交通は安い。地下鉄が2元(25円)、バスが4毛(5円)という値段は変わっておらず、タクシーの10元(120円)も含め、物価指数の引き下げ要因になっているように思える。

 炸醤麺1

今日の昼ご飯は、たまたま琉璃廠の方へ行ったので、昔からある料理屋で北京名物の炸醤麺を食べた。(日本ではジャージャー麺と言っている)以前だったら15元見当なのだが、今は25元(300円)、すき家の牛丼並みの値段だ。

 炸醤麺というのは炸醤という肉の入った味噌を麺にかけて食べるのだが、炸醤は店によって味も鹹さも違い、これが味の決め手となる。あ炸醤麺2とは煮豆やセロリ、キュウリなどの野菜の細切りがかかっていて、それを2枚目の写真のように混ぜて食べる。この店のは塩からさが薄めで美味しかった。
 
 私が北京で一番と思う炸醤麺は、三環の西覇河にある到家嘗という店ので、ここは何でも安くておいしいので私の贔屓の店だ。


ジャオの北京日記Α(僂錣詼無

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 北京はこのところ気温が30度を超える日が多いが、そのかわり夜は急速に冷え込むので邪魔でも上着を持って出るのが欠かせない。夜は156度まで下がるということは1日の間に気温が15度前後も上がり下がりしているわけだ。風邪をひきやすい時期でもある。先程、玄関のドアを開けたら吹き溜まっていた柳絮がドッと入ってきて、あわてて掃除機を掛けなおした。

 

 私が2008年に北京から東京へ移って既に4年経ったが、その間にも北京の状態はすごい勢いで変わっている。最近、中国の○○を暴く、みたいなキワモノの本が日本ではたくさん出版されているが、「中国の今」を扱った本は、気をつけないと1年で既にobsoleteになってしまうと思う。

 

 今回、仕事探しも兼ねて街をあちこち歩いていて気がついたのは、まず地下鉄利用者の急増による人の流れの変化だ。

 

 私が留学から北京へ戻った2003年当時は、地下鉄は1号線、2号線の2本の路線しかなかった。2008年のオリンピックの時でも10号線、13号線、8号線と5号線の一部がようやく開業したところだったが、いまは9号線、4号線、さらに13号線の支線が数多くできていて覚えきれない。

 

 これに伴って、もともとは乗降客の少なかった雍和宮や崇文門、宣武門などが乗換駅になったため、人の流れが大きく変わっている。市内の道路の交通渋滞がいよいよひどくなり、いまだにナンバーの末尾の数字で規制をかけて、全体の5分の1ずつ車の運転を毎日禁止しているにもかかわらず、車での移動に時間がかかるようになった事も、地下鉄利用者の増加に拍車をかけている。特に1号線、2号線の混雑は平日の日中でも、日本のラッシュ時に近い感じになってきている。

 

 地下鉄の料金は以前は3元で、13号線を利用するとさらに2元プラスになったのだが、オリンピックを前に無理やり全線均一で2元に値下げになり、いまもそれが続いている。2元=25円ぐらいというのは賃金・物価の差を考えても、東京で100〜120円という感じだから決して高くない。

 

 4号線、5号線は、東京の南北線のようにホームの側にもガラスのドアがついている。地下鉄の運転士も、差不多(まあ大体こんなもの)精神の中国人だから、営業開始当初はこのホーム側のドアに合わせてピタッと電車を止めることができずに、いったん止まってからバックしたりすることも多かった。でも最近は東京の地下鉄並みに上手になったと思う。

 

 地下鉄1号線は天安門から東へ延伸する時に日本の援助を得て作られた。その際に、日本の援助が全く無駄に使われている例としてこの地下鉄1号線建設を挙げ、誰も利用しない一日中ガラガラのこんな地下鉄に日本が援助をすることの無駄とバカらしさを強調されたのは、産経新聞の大記者である古森義久氏だった。今から見れば氏の議論は全くの近視眼であり、1号線のひどい混雑ぶりを見て当時の自分の主張についてどう言い訳するのか聞いてみたいものだ。

 

 ついでに言うと、古森氏は毎日新聞のサイゴン特派員時代は実に冴えた記者だったようで、これは産経の近藤紘一氏の著書からもうかがえる。しかし氏が「中国屋」になってからの記事や著作は、今から見れば見当違いが多く、先行きを読み間違っていることだらけだ。ああいう名記者は晩節を汚すような転身をしない方がいいんじゃないかと勝手に思っている。

 


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