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ジャオの北京日記 朱鷺とナショナリズム

JUGEMテーマ:中国ニュース
 

日本では朱鷺の雛が生まれてちょっとしたトキ・ブームのようだ。

トキにベビーラッシュ、佐渡で6羽目ひな

環境省は11日、新潟県佐渡市で放鳥された国の特別天然記念物トキのうち、これまでひな2羽の誕生が確認されていたつがいに、新たに1羽が生まれたと発表した。国内の野生で36年ぶりに確認された別のつがいの3羽と合わせ、ひなは計6羽になった。2012/5/11 22:26日本経済新聞

 

トキ放鳥:ドジョウ養殖、飼育支え 熱意ある若者育って 新潟

11日に新たに1羽のひなが確認され、6羽が誕生している佐渡市の放鳥トキ。野生復帰ステーションで放鳥に向け訓練中のトキを含め、佐渡トキ保護センターには10日現在、162羽がいる。年々数が増えると共に、今は繁殖期で特に餌が必要な時期だ。同センターでは餌のドジョウは佐渡産だけでは間に合わず、島外や中国からも大量購入。佐渡産のドジョウを供給し、トキの飼育を下支えするのが、同市小木大浦で06年から同センターに収めるドジョウを養殖している「佐渡ドジョウ養殖研究会」の西野雅夫会長(69)だ。西野会長は「もっと養殖者が増えてほしい」と話す。毎日新聞 20120512

 

 エサのドジョウ養殖の後継者探し…なんて何だか大変な熱の入れようだが、朱鷺を見たければ、北京動物園へ行けばいくらでも見られる。パンダ舎に近いところの檻に何羽も飼われており、写真はその檻の表示板だ。中国語では朱カンとか朱鷺とも言う。カンの字は環のつくりを左に書いて右に鳥という字だが、これは中国語でも滅多に使わない漢字で、ケータイの変換では出てこない。

 

 表示板にあるように、中国でも数が減ってきて一級保護動物になっているが、日本のようにむやみな特別扱いはされていないし、他の動物と同じように飼育され展示されている。

 

 そもそも朱鷺は日本固有の鳥ではない。かつては中国・極東ロシアから朝鮮や日本にかけて広く分布しており、ありふれた鳥だったそうだ。Nipponia Nipponという学名から、日本を代表する鳥、日本の象徴みたいに間違われるが、これはシーボルトが欧州に送った最初の剥製が日本の朱鷺だったからというだけの理由で、欧州の学者たちが誤解して命名したに過ぎない。

 佐渡ヶ島や新潟県などは、他に観光資源のないから、必死でこの誤解を流布して観光客を増やそうとしているだけだし、国内にしか目の向かない記者ばかりの日本メディアも、その尻馬に乗っているだけだ。

 

 2003年に最後の日本産の朱鷺が死んでいまは中国産ばかりだという報道もあったが、朱鷺はコウノトリの仲間だから飛ぶ距離は長く、そもそも今の各国の国境を当てはめて「日本産」と麗々しく言うのがおかしい。シベリアと日本を行き来している白鳥については「ロシア産」なのか「日本産」なのかという議論はしないのに、朱鷺について日本人が熱を込めるのは、ニッポニア・ニッポンというインチキな学名がナショナリズムを掻き立てるからじゃないだろうか。

 

 朱鷺の保護は行うべきだろうが、誤解と無知と郷土意識が生み出したフィクションに乗って右往左往している日本人の態度は滑稽以外の何物でもない。


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