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ジャオの北京日記 「の」の字のはなし

JUGEMテーマ:中国ニュース
 

 日本語の「の」というのはとても便利な言葉だ。中国語では「的」にあたり、ほぼ同じ使い方をする。語順も同じだ。「私の心」は「我的心」(月亮代表我的心という歌があるが)、「彼の先生」なら「他的老師」のように使う。また「これは私の、あれは彼の」という使い方も「這是我的、那是他的」となり、非常に近い使い方をする。

 

 中国では最近、なぜだかわからないのだが、日本語の「の」の字が流行っている。

 

 左の写真は三元東橋のネイル・アートの店の看板だ。「の」の部分を「的」にしても意味は通じるが、ちょっとダサいかんじがする。日本語にしてしまうことで、日本の技術を使ったネイルですという感じも出るわけだ。

 

 次のは南鑼鼓巷で見つけた看板で、貝児多爸の泡芙工房と書いてあり、「貝児多爸」はbeard papa、「泡芙」はpuffの音を漢字に直したもので、シュークリーム屋みたいなものだ。たぶん元は「Beard Papa’s Puff Factory」という店なのだろうが、ここも中国語の「的」を使わず日本語の「の」を使っている。「の」の方が「的」より見た感じがすっきりするためもあるだろうし、日本と言う外国の香りがするという意図もあるのだろう。

 

 「の」の字の進出は大陸に留まらない。三つ目は台湾で見かけたもので、お茶屋さんの看板だ。これも「茶的魔手」と書いてもよいのだが、「の」を入れることで日本の香りがする。

 




 「の」の字が人気なのはなぜだろう? 一つは「的」を「の」に置き換えても意味が全く変わらないからだろう。また日本の文字であることは多くの中国人が知っているから、日本から或いは外国から入ってきた技術とか味とかを言外に匂わせることができるからかもしれない。また「の」という文字が丸くて可愛いからということも大いに影響しているだろう。中国では「の」の字が「乃」の草書から来ていることはほとんど知られていない。

 

 さらに「的」と書くよりは「の」の方が前後にある名詞が際立つためもあるのだろう。「茶的魔手」よりは「茶の魔手」の方が、平板さがなくなり、「茶」や「魔手」という単語がハッキリするように思う。考えてみればこれは漢字かな交じり文と言う日本語独特の文体の良さを生かしているということだ。

 

 韓国語もちょっと前の本は漢字ハングル交じりで書かれているが、今ではchauvinismが嵩じて世宗大王を奉りすぎたためにハングルばかりになってしまい、中国と逆の意味で大変に平板になってしまった。そういえば韓国からの留学生が、ソウル大学の図書館にある本の半分以上は漢文か漢字ハングル交じり文なので自分たちは読めないと言っていたのを思い出した。自国の大して古くない図書が読めないことは、知識人のレベルを大いに引き下げてしまうと思う。ビジネスでは頑張っていても、最近の韓国には知識人がとても少ないように見えるのはそのためではないだろうか。

 

 英語の of やフランス語の de は、「の」や「的」と違って、名詞の順番が、teacher of the schoolとかmaison du professeurみたいに前後逆になってしまうが、それでも of de は使い勝手がよい。この意味ではロシア語は of de に当たる言葉が存在しない珍しい言語で、外国人にはホントに困りものだ。例えば、プーチンの家と言いたければ Dom Putina と、Putin という固有名詞自体が格変化して形を変えてしまう。さすがに歴史の浅い野蛮な言語…と中国人の目には映る。

 

 北京オリンピックのころ、北京ではコスプレがはやり、コスプレ小姐が「超可愛(chao ke ai)」なんて叫んでいた。もちろんこれは当時日本でも流行っていた「チョーかわいい」の中国語訳である。こういう他愛ないレベルで共通点を見つけ共用したりすることによって、中日両国民が個人レベルの感覚的なところで近づけばいいなと私は思う。「の」の字の流行もその一助になってほしいと思っている。


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