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私の「満鉄」旅行記(1)切符を買う

JUGEMテーマ:鉄道

 

 3年ぶりの帰省でしたが、北京であの怖い母とずっと顔を突き合わせていると気づまりになりました。しかも母は相変わらず仕事が忙しそうなので、掃除も洗濯も炊事も結局は私が全部引き受けることになります。

 

 そこで北京を離れ旧満鉄(南満洲鉄道)の旅をすることにしました。川村湊さんという方が戦前の資料を大変詳しく読み込んで書いた「満洲鉄道まぼろし旅行」という本を最近読んで興味を持ったのが理由です。私は1週間程度の短い期間ですから、北京からまず昔の京奉線で奉天(瀋陽)へ行き、そこから旧満洲国の首都だった新京(長春)、そしてかつてあじあ号が疾駆した大平原を突っ切って南の玄関口である大連へ下るという行程にしました。 

 

 中国では「満洲国」に関係するものには「偽満洲国」「偽満洲皇帝」のように、全て「偽」の字を前につけることになっています。そうでないと現政権が「満洲国」を認めた事になってしまうし、「満洲国」時代に作られたものが中国にはまだ余りに多く残っていて今も使われていることの2つの理由からだと思います。でも私は「偽」の字をいちいち付け加えるのが煩わしいので、「満洲国」とか「満鉄」、「満洲」と書くことにします。

 

 満洲というのは、そもそもは中国東北部の土地を指す名前ではなく、満洲族という民族の名です。満洲族はツングース系の民族で女真人とも呼ばれました。宋の時代に中国北部に勢力を張った「金」は女真人の建てた国ですし、清朝も同じく女真人の国でした。陳舜臣先生によりますと、女真人に文殊菩薩の信仰が広まり、自分たちを「文殊」の民という意味で発音の近い「満洲」族と呼ぶようになったのだという事です。もちろん学者たちは様々な異論を唱えていますが、じゃあなんで満洲なのという問いには誰も答えられないようです。(次ページへ続く)

 いまの中国では満洲という言葉を避けるために女真族は「満族」と呼ばれており、1千万人ほどが東北や内蒙古に住んでいます。中国政府公認の55の少数民族の中では、広西壮族自治区の壮族に次いで、回族とほぼ同じ人口で第2位の少数民族です。民族名に「洲」の字がついていたため、その住む場所が「満洲」という土地だと勘違いされ、さらに「満州」とも表記されるようになり、「満洲国」や「南満洲鉄道」に至ったのが歴史的な経緯なのです。

 

 北京から瀋陽(昔の奉天)へはかつての京奉線に乗って行きます。もっとも私が北京を離れてからこの10年の間に新幹線ができていて、線路はかつての京奉線に沿った新線です。日本と違って在来線も新幹線も軌道の幅は同じ標準軌(4フィート8.5インチ=1435mm)ですから新幹線は在来線の駅も使えるのです。

 

 北京駅に切符を買いに行きました。かつては田舎へ帰る農民工が長い行列を作り、駅で切符を求めるには本当にウンザリするほど時間がかかりました。今は自動券売機があり、身分証があればその場で切符が買えますし、サイトから予約しておけば券売機で受け取ることもできます。このため切符売り場はご覧のように行列が姿を消し、かなり日本の窓口の状態に近くなりました。

 

 中国での支払い方法はこの10年で大きく変わりました。10年前は現金が主流でクレジットカードが使える、バスや地下鉄はICカードでという日本のような状態だったのですが、いまは大半の人がスマホのwechatかalipayで支払っています。このサービスは中国の銀行にある口座と連動するので、外国からの旅行者は使うことができません。私より北京を良く知っている日本人のしゃおりんさん(小林さゆりさん)が去年ブログで書いておられましたがhttp://pekin-media.jugem.jp/?eid=2488#sequel中国ではこの数年の間に支払方法が完全に脱現金に変ってしまいました。コンビニはもちろん、地下鉄やバスの支払いからタクシーもレストランも、そして露店ですらも支払いはスマホ決済になっちゃったのです!

 

 正直言うと私は二つの意味でこの傾向を危惧しています。一つはもちろん、外国からの旅行者や、私のように中国の口座と支払いソフトを連動させていない者にとってこのシステムが使えないので不自由なことです。もう一つは、Wechat(騰訊の 「微信支付」)やAlipay(アリババの「支付宝」)といったスマホ決済サービス会社がもし党や政府に個人の決済情報を渡したら、ある人がどんな物をいつ買ったか、いつどこへ行ったかからどのぐらい酒を飲むかまでわかっちゃうからです。中国の事ですから、党や政府が個人情報を求める事態がいつ起きても不思議はないし、それで国民を統制しようと思えばできるのですから、私は大変怖いと思っています。

 

 母もほぼ全ての支払いで支付宝などを使っているのでこの話をしたら、スマホで買うのは調べられたって問題ないものばかりだから全然心配していないと笑っていました。大きな金額の動く取引やヤバいものは相変わらず現金や外国口座に頼っているようです。そのあたりは中国人(特に女性)のしたたかさに変化はない様子でした。

(つづく)

 


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