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海賊版は永遠に不滅です!? 〜現実の問題〜 (5)

JUGEMテーマ:社会の出来事

 知財権の中でも著作権をめぐる自由を大幅に増やしてしまうと何がおきるのだろうか。今日は現実の可能性をいくつか考えてみたい。

 

 著作権の判断が厳しいため、いまは、例えば会社内で新聞や本の必要な部分をコピーして関係者に配るのも違法ということになっている。コピーした記事が自分の社について書かれたものであっても、それを社内でコピーして配布することすらできない。

 

 また発行部数の少ない学術書・専門書もコピーして流布することは禁止されている。こういう本はすぐ絶版になるし、一度絶版になったら古本屋で探すしかない。そもそも学術書・専門書は発行部数が少ないだけに一冊の値段が2万円も3万円もする本も多く、人目に触れないうちにほとんどが消えてゆく。こういう本は電子図書にもなりにくい。こういう本では著作権法による保護の恩恵を受けるものより、法の制限のために死蔵か絶滅してしまうものの方が遥かに多いだろう。

 

 もし著作権の規制を緩めて、本の全部か一部のコピーを流布してよければ、その本はもっとたくさんの人に読まれるし、著者もそれを希望すると思う。それでは印税が入らないと言うなら、コピー販売を自由化する代わりに、消費税みたいにコピー一部ごとに著作権料部分を上乗せ徴収することだってできる。

 

 一方、著作権の使用をタダで大幅に認めてしまうと、一番困るのは無名のアーティスト、クリエーターたちだろう。彼らはそこからスタートし、著作権で細々と食いつなぎながらステップアップを図っていくからだ。

 

 でも今の著作権法や著作権料の取り方が、無名のアーティストやクリエーターのためになっているかということには大いに疑問がある。

 

 先日、アメリカのマイナーな音楽制作を支援しているアメリカ人の弁護士と話をする機会があった。彼によると、アメリカの大手音楽会社は、世界的に有名で売れるミュージシャンを抱え込んでおくために莫大な契約金を支払い、そのお金が結果としてCDや音楽DVDの値段高騰と会社の利益圧迫の一番の理由になっていると言うことだ。超有名アーティストを何人抱えているかで世界でのシェアが決まる、だから持っているカネのほとんどをそこにつぎ込むのだそうだ。ただ、その競争はもう限界近くにまで来ていて、大手音楽会社は共倒れになりかねない状態まで来ているとその弁護士は言った。

 

 映画でも同様のことが起きているようで、私が「プールつきの大邸宅に住むハリウッドスターたちに献上するため、4万円の月給を必死でやりくりしている者に、さらにお金を払わせるのは正義だろうか」と書いたのは、あながち根拠がないわけではない。

 

 つまりは会社の存在自体を左右するような「大物」は保護されるが、それ以外の「小物」、つまり無名のアーティスト、クリエーターの収入は削れるだけ削られる構造になっているわけだ。これは音楽業界、クリエーター業界、映画業界などの内部構造の問題ではあるが、現在の著作権法による制限は結果として「大物」たちだけを保護し、無名の「小物」たちのためにはなっていないのだ。

 

 フランスのように、無名のアーティスト、クリエーターを国が「フランス文化」として補助するのもひとつの手だろう。でも日本は、事業仕分けでまずアニメ会館が槍玉に上げる国だ。今の政府はアニメとかJポップとか、今の日本を代表するような分野を全く理解してないように見える。

 

(この記事は、海賊版は永遠に不滅という記事を、今はなきオーマイニュースに掲載したときにいただいたコメントに教えられたところが多い。当時のペンネームで「ご隠居さん」「冥王星」さんに感謝したい。)

 

コメント

朽木不可雕也、糞土之牆不可塗也。於予與何誅。
  • 趙秋瑾
  • 2009/12/11 11:03 PM
 また追記

 ↑ではシュワイッツアーと書きましたが、何せワタクシはドイツ語を読めませんし、この名をうろ覚えでしたので↑のように表記しましたが、シュバイツアーと普通に呼ばれているらしいので、放置しておくとまたツッコミを入れられかねませんので、ここに付記しておきます。
  • 井上信三
  • 2009/12/11 3:04 PM
 書き忘れたことが1つありました。

 法王庁がイタリヤの所有物だと言うことも貴女に教えられて初めて知ったことで、なんともおありがたいことでございます。また1つお利口さんになりました。
  • 井上信三
  • 2009/12/11 2:51 PM
>世の中、99%道徳的で1%不道徳という人間は、60%不道徳40%道徳的な人間より、はるかに犯罪に近いところにいるのです。

 これは私の言葉ではなく、三島由紀夫先生の言葉ですから、批判されるならあの世の三島先生にどうぞ。


 楽して知識を得ると言うことが私のやり方でございますので、こういうブログはホントに役立ちますです。

 サウジアラビヤやでは国民の900人に1人が王族であると言うことを知人に話しましたら皆さん非常に驚いていました。誰でも知っていることはないと思いますよ。誰でも知っている誰でもというのは、上っ面の知識だけで、日本人を本当には知らない貴女の、周りの人々だけ。普通の日本人はそんなことは知らないですよ。


 ワタクシは日本人の典型でございまして、無信心でございますので、法王庁なんぞ全く関心はございませんよ。
 
 そういう考えもあるのですか。まことに含蓄の深いお言葉でありまして、ワタクシメのやうな不勉強な人間にはトンと理解しかねるお言葉であります。

 まあ、三島由紀夫という三文文士は大嫌いですから聞き置くに止めておきましょう。

 三文文士のお言葉に従えば、お釈迦様、キリスト様、孔子様、ソクラテス様、昭和天皇ヒロヒト、マザーテレサ様、ナイチンゲール様、シュワイッツアー様などはさしづめ普通人よりもに犯罪人に近いわけですなあ。もっとも、ヒロヒトやシュワイッツアーは99%道徳的などとんでもないと言う人もかなりいらっしゃるようですが、そうなると、

 それにしても、文章をお書きになるたびにやたらと他人の言辞を引用されておられるようですが、たまには全文自製の独自のお言葉でお書きになられたらいかがでせうか。
  • 2009/12/11 2:45 PM
井上様、
長くこの世にいらっしゃりながら、私のブログにあるような誰でも知ってる話に感心していただけるのは望外の幸せです。法王庁にご興味があるなら、アンブロジアーノ銀行というキーワードで調べてみてください。

世の中、99%道徳的で1%不道徳という人間は、60%不道徳40%道徳的な人間より、はるかに犯罪に近いところにいるのです。

これは私の言葉ではなく、三島由紀夫先生の言葉ですから、批判されるならあの世の三島先生にどうぞ。
  • 趙秋瑾
  • 2009/12/11 2:02 PM
池田信夫ブログへのコメントから引用

>6. zhaoqiujin 2009年12月07日 22:56
 2)反対点
  前略  なにしろ(井上注 イタリヤは)マフィアと法王庁という二つの巨大地下組織を公然と持ってる国ですから、名目GNPに匹敵するぐらいアングラ経済があったのだと思います。日本の地下経済が僅か20兆円だとすれば随分小さいですから、そこまで透明にしてしまうと、長期的に見れば日本経済はヒヨワになると思います。

水清ければ魚住まずって言います。 元の言葉は中国語で水至清則無魚、人至察則無徒といって、水がきれい過ぎると魚は住めないし、人もきれい過ぎると仲間ができないという意味です。適当に濁ってた方が、長期的な国民経済という観点からすればいいのではないでしょうか。

趙秋瑾 

 こういう考えが根底にあるんじゃ、他人の知財権を侵害することが当たり前だと言うようなことを平気で言えるはずであります。

 こういう手合いを相手にしてもむなしいだけであります。いくら議論しても一致点など
見出せないでしょう。自分のものは自分のもの、他人のものも自分のものと言う論理で育ってきて、自分に非があっても決定的な証拠がない限り絶対に非を認めない、ように教育されてきた手合いには、他人のものは他人のもの、自分のものも場合によっては他人に黙って差し出せ、自分に非があると思ったら証拠があろうがなかろうが認めろ、と言う教育を受けてきたわれわれの事は絶対に理解できないでしょう。

 それと、法王庁はイタリヤの国内と言うかイタリヤにすっかり囲まれているバチカン市国と言うところのものである事は聞いていましたが、法王庁がイタリヤに所有されていると言うことや、巨大な地下組織であるなんてことはチットモ知りませんでした。バチカン市国には法王庁は含まれておらず、非公然の地下組織であったとは、驚き桃の木山椒の木であります。

 このブログは本当に役に立ちますなあ。法王庁が巨大地下組織だとか、サウジアラビヤでは国民の900人に1人が王族であるとか、いやあホントニありがたいブログであります。
  • 2009/12/11 12:50 PM
はじめまして。池田信夫さんのblogからきました。上記の意見なかなか面白いですね。クリエイターにはインターネットやマスメディアに引用されたものを証拠として報酬請求権を持つべきではないかと思うのです。どこで取り上げられるかはわからないし、その作品の力によります。製作にかかった経費の回収したあとの儲けは、You tubeやニコニコ動画でUpされ、再生回数に応じて支払われればいいと思います。
それとこれから大きなヒットより息の長いヒットが金を稼ぐコンテンツになると思いますよ。怪獣ロングテールというやつです。
  • G4M2少佐
  • 2009/12/08 10:52 AM
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